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<母親殺害>47回目の誕生日に…高3男子、学校休みがち

5月15日12時3分配信 


「母を殺しました」。

15日朝、福島県立高校3年の少年(17)が、

こう言って県警会津若松署に自首した。

持っていたバッグから、切断された頭部を取り出す。

調べには「誰でもよかった」と静かに話しているという。

母親とは別居し、学校を休みがちだったという少年。

母親との間で、17歳に何があったのか。

出頭したこの日は、母の47回目の誕生日だった。

 ■少年と家族

少年が通う県立高校の校長は、

少年について「担任からは、

休みがちで、精神的に不安定だったと聞いている」と説明。

一方、少年が卒業した中学の校長は「休むことなく通い、成績も優秀だった。

普通通りの学校生活を送り、目立った行動はなかったと思う」と話す。

中学の時には、県中学スキー大会の飛躍、

複合でともに4位だったほか、駅伝にも参加する活発さもあった。

高校時代に何らかの変化があったことをうかがわせる。

少年の実家は、少年が住むアパートがある会津若松市から、

車で約1時間ほど離れた同県金山町にあり、

祖父母と両親、中学1年の三男が暮らす。

少年は長男で、同市内の県立高に通うためアパートを借り、

別の県立高校2年の次男と住んでいた。

父親は団体職員。

母親は保育士で、元同僚は「欠勤もなく明るい人柄で、

頼られていた」といい、現在は自治体の臨時職員を務めている。

母親は、洗濯のため時々少年のアパートを訪ねていた。

近所の主婦は「子供が2人で暮らしていて、

たまにお母さんが訪ねてきて世話をしていたようだ。

昨日の夕方に訪ねてきたようだ」と話している。

少年のアパート近くに住む主婦(66)は、

母親について「4月に町内会の会費の集金に家を訪れた際、

子供2人だから半額だけもらっていいですかというと

『お支払いします』と丁寧に答え、

腰が低かった」と話した。

また「ゴールデンウイーク中も2~3日泊まっていったようだ。

昨日も夕方から今朝まで車が止まっていたので、

ああ来てるんだなと思った」と語った。

 ■現場周辺

会津若松市内にある少年が住むアパートは、閑静な住宅地にある。

3軒棟割りの2階建て住宅。

この一室で見つかった首のない遺体は、布団に横たわっていたという。

近くの60代の無職男性は「家の前を通ると、

いつも自転車が3、4台とまっていた。

高校生ぐらいの子供が住んでいて、

友だちが遊びに来ているのかと思っていた。

子供だけの家とは思っていなかった」と話した。

20歳代の主婦は「上の子(少年)はあまり外に出ないので、

見かけなかった。

お母さんの車は今もアパート駐車場に止めてあり、

週末に来て何かもめ事があったのでしょうか」。

近くに住む主婦(60)は「こんな静かな住宅街で、

母親殺しなんて」と驚いていた。

また、母親の自宅近くにも、事件の波紋が広がった。

近くに住む男性は「昨日の朝に会ったが

『おはようございます』といつもと全然変わらなかった。

事件を聞いてびっくりした」と驚いた様子。

子供が被害者の三男の同級生という同町農協職員の女性は

「(以前にあった)土砂崩れ被害のときは『お金がかかる』とこぼし、

子供については『男の子が3人なので手がかかるのよ』と

笑っていた」と話した。

 ■県立高校

生徒の通う県立高校は02年、名門校だった女子高が共学化された学校。

進学校として知られ、国公立大にも多数合格している。

遠くて通学できないため、会津若松市内に下宿する生徒が半数を占める。

この日は「生徒が母親を殺した」との一報を受け、

午前9時45分に生徒959人全員を帰宅させた。

また、県警に職員を派遣し、容疑事実の把握に追われた。

校長によると、一斉下校は「生徒に動揺を与える重大な事件で、

授業を受けられる心境ではないだろう」と判断したためで、

生徒たちには担任らを通じ「命にかかわる重大な事件が発生した。

今後は報道で具体的な事件の内容を知るだろうが、

冷静に対応するように」と伝えたという。

また、福島県教委は朝から、

野地陽一教育長ら幹部職員や県立高校を担当する

県立学校グループ幹部が、対応を協議。

少年の実家のある県内の自治体の教育委員会も、

朝から幹部が協議に追われていた。

 ◇被害者と強い葛藤が

 ▽上智大の福島章名誉教授(犯罪心理学)の話 

親の首を切って警察に持っていくという行為は

過去にも聞いたことがない猟奇的事件だ。

首を切るという行為は、

被害者との葛藤(かっとう)が非常に強く、

強者で首を切らないと報復されるという

恐怖感が強い場合に過去に起きているが、

今回も少年に何らかのストレスが働いていたことがうかがえる。

生い立ちや病歴、医療などの要因が複雑にからみあっていたとみられ、

動機や供述などをよく調査することや専門家の精神鑑定が望まれる。

 ◇厳罰化する少年法

14歳の少年による神戸連続児童殺傷事件(97年)を機に

厳罰化の必要性が叫ばれるようになった。

少年法が00年に改正され、

刑罰適用年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられ、

殺人などの重大な非行事実に問われた16歳以上の少年は

原則検察官送致(逆送)になった。

また、長崎県佐世保市で04年に起きた小学6年女児による

同級生殺害事件などをきっかけとして改正議論が再燃。

少年院送致の下限年齢を現行の「14歳以上」から「おおむね12歳以上」に

引き下げる内容を盛り込んだ改正案が今国会で議論されている。
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